各地の同胞が語る「私とサークル」−コーラスサークルムグンファ(茨城) |
茨城の同胞と合唱とのかかわりは古い。1960年代から在日同胞の間で行われてきた芸術競演大会などに出場。混声、女声の各合唱、重唱などで毎回トップレベルの成績を収め、「茨城トンポここにあり」と全国に歌声を響かせてきた歴史がある。 練習時間を厳守 同地域での活動はその時々に単発的に行われるだけで、なかなか長続きしなかった。そんななか、歌の好きなオモニたちの強い要望によりコーラスサークル「ムグンファ(むくげ)」が発足したのは5年前の秋のことである。 練習は茨城初中高の協力で、同校の音楽室を借りて行うことに。サークルには、朝鮮の歌を心から愛する20〜60代までの同胞女性15人が固定メンバーとして参加するようになった。指導を任された私は、数十年間携わってきた茨城初中高コーラス部の指導経験を生かし、活動を今までのものとは一味違うものにしようと心に決めた。 「同胞女性たちの中にしっかり根を降ろした息の長いサークル活動にしたい」−そう決心し、@週1回、夜8時から9時までの練習時間を厳守するA練習は体をほぐす運動や発声法など、基礎から丁寧にゆっくりと。1人ひとりが毎日少しでも進歩を実感できるようにすること―を必ず守るように心がけた。 寒い冬の日などは「今日は何人集まることができるだろうか」と不安に思ったりもしたが、メンバーは休むことなく集まってくれた。練習後はお茶を飲みながら、家庭のこと、学校のことなど悩みを相談しあうこともあった。 学校創立50周年公演 このようにして誕生した「ムグンファ」の地位を確固としたものへと発展させる契機が訪れたのは、発足2年後のことだった。2年間コツコツと指導を続けてきた私は、「もうそろそろ舞台に立っても恥ずかしくないだろう」と確信し、水戸市の合唱連盟に加入。そして「ムグンファ」は市の合唱祭に参加することになった。 声をそろえて「自信がない」としり込みする団員を「大丈夫」と勇気付けながらの出演だったが、白く輝く美しいチマ・チョゴリに乗せて歌う私たちの初舞台は大成功に終わった。著名な日本の合唱指揮者である片山みゆき・合唱連盟委員も「素晴らしい歌声が舞台に花を添えてくれた」と高く評価した。なによりもうれしかったのは、団員全員が日頃の練習の成果を思う存分に発揮し、なんともいえない感動の瞬間を共有することができたことだ。 舞台を踏むことで彼女たちの目的意識も高まり、レパートリーも徐々に増えていった。今ではサークルは、メンバー全員が朝鮮の歌を通して互いの理解を深めるのはもちろん、民族の心を確認しあう場所となっている。 当面の目標は今夏、水戸芸術館で行われる公演と茨城朝鮮初中高級学校創立50周年記念公演への出演だ。「夢は大きく」をモットーに、いつか統一朝鮮での公演をかなえたい。(張弘順、茨城初中高教員) [朝鮮新報 2003.3.14] |