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各地の同胞が語る「私とサークル」−チャンゴサークル・ハナ(静岡)

 各地で運営されているスポーツ、文化、芸術など多種多様な活動は、同胞間の親ぼくを深め、同胞社会を活気づける大切な空間だ。そのなかから大小さまざまなドラマも生まれている。本欄では、そのような体験のなかで同胞たちが感じた「サークルへの思い」を紹介する。

集える場作ろう

 私が最初にサークル活動のようなものに携わるようになったのは、16年ほど前から地域女性同盟で行われてきたコーラス活動の指導を任されてからだ。

 地域に経験者が少ないということもあり、独身時代、東海朝鮮歌舞団に所属していた私が指導にあたることに。「指導するよりされる立場に回りたい」というのが本音ではあったが、これも朝鮮の芸術活動を職としていた私に課せられた義務(?)と思いつつ、いや、それよりも何より朝鮮の音楽と芸術をこよなく愛する自分がいたからこそ、その依頼を引き受けることにした。全国の女性同盟コーラスサークルがしのぎをけずる歌の競演大会に出場したこともある。乳飲み子を抱えながら指導したこともあった。

 5〜6年前からは「より多くの同胞女性が集える場を作ろう」とチャンゴや舞踊のサークルを立ち上げたが、家事や育児に追われるオモニたちにとって定期的に集まって練習することはかなりハードだった。活動はすぐ下火になってしまった。「目標がなければ、練習もなかなかはかどらない」というサークル運営の難しさを実感した。

 しばらく空白の時が流れた頃、歌舞団時代の後輩でもある金有悦さんに再会した。隣の静岡・中部支部で金さんが生き生きとサークルを指導する姿に刺激を受け、「もう一度、がんばってみよう」と気持ちを奮い立たせた。

「継続は力なり」

 1番の問題点は、これらがすべて、定期的な活動になっていなかったことだ。「チャンゴを通じて民族性を守っていこう」とのモットーを掲げて週一回支部に集まり、時には東京から講師を呼ぶなどしてチャンゴの技量を磨いた。

 一昨年11月には、支部が主催した同胞女性の集い「チョゴリエマンナム」で「ソルチャンゴ」を披露。また2000年の6.15共同宣言の流れを受け、民団婦人会との合同練習を開始。総聯、民団が共催した合同花見で共演も果たした。

 昨年6月には民団と共同で、活動をチャンゴサークル「ハナ(朝鮮語で『ひとつ』の意)」にリニューアル。とくに印象深かったのは、サッカーW杯時に行われた浜松市主催のイベントに出演、民団とニューカマーの同胞女性、そして日本市民を含めた混合メンバーで「サムルノリ」を披露したことだ。2日間におよぶ出演と地元ラジオ番組への生出演も果たし、同胞はもちろん、多くの日本市民に朝鮮の伝統芸能を披露できたことは、今でも私たちの大きな誇りに、活動を続ける原動力になっている。

 このように勢いづいてきたものの、ここに来て試練の時を迎えている。昨年の9月17日以降、メンバーが減少しているのだ。それにはさまざまな理由があると思うが、いろいろな立場の人が足並みをそろえてサークルを行うことの難しさを今、あらためて感じている。

 サークル活動を行うには、まず好きであること、そして同じ目標に向かって全員が前進していこうとする姿勢、さらにこつこつと積み重ねていく地道な努力が必要だ。「継続は力なり」である。どんなことも一時的にやってそれで終わりでは、なんの意味もない。

 私にとってサークルとは、日常生活に埋没しがちな「感動する」気持ちを思い起こさせてくれる場所。その気持ちを大切にしながら、自分が全力投球できるものを「一生懸命やる」ことによって得られる「成果」や「喜び」を「皆」で分かち合えることのすばらしさをこれからも共有していきたい。(李英姫)

[朝鮮新報 2003.2.20]