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日朝交流の現場から−良心を問いつづけたい

 東芝府中工場で「少数派」労働者運動を続けている私に、朝鮮問題との関わりがあったわけではない。きっかけは朝鮮学校生徒、とりわけチマ・チョゴリを着ているが故に標的にされる少女たちへの日本人による迫害に、恥ずかしさと怒りを感じたからである。以前も、「チョン中・チョン高狩り」と称する暴力、迫害は日常にあった。

 しかし、最近の状況は、朝鮮半島や朝鮮総聯の問題に日本の政府、警察、マスコミが一体となって、情報操作のキャンペーンを展開した結果であることは明らかだ。私も、そのたびに愚かな行為を止めろと署名、市議会への意見書提出活動に参加してきたが、事態は悪化する一方であった。

 このままではいけないと感じたのは私だけではなかった。朝鮮総聯西東京南部支部の方も、立川市にある朝鮮学校のオモニ会の方も、同じ思いを持っていた。それは、反差別と反迫害を他者に提起する前に、まず自らが地域の中で隣人として日常的に交流し、その姿を広く市民に表すことで地域の中に確かな絆をつくりたいという願いであった。

 こうして私たちは、朝鮮の方と一緒に話し合い99年1月に「人間としての良心を失わないため」の「声明」を公にし、2月には、行政と学校が差別をなくす努力をせよとの要請をし、会合を重ねた。そして、同年5月に私たちの交流の場を「チマ・チョゴリ友の会」と名づけた。その後、地域に開かれた交流を合言葉に、広く市民に公募しての料理教室と、朝鮮音楽、舞踊のステージ、料理の模擬店、朝鮮学校紹介展示などを府中公園に集中しての「朝鮮文化とふれあうつどい&フリーマーケット」も共に4回を重ねている。

 さらに、朝鮮学校への補助金問題を総聯本部の方および梁澄子さんに学び、朝鮮学校の歴史と今を知る金栄さんの講座、在日とハンセン病差別の二重苦に合ってきた國本衛(李衛)さんの講座、藤井誠二さんの「在日コリアンサッカーの魂とは何か」と題する講演会などを続けながら、府中市に対して朝鮮学校に通う子どもと公立に通う子どもの教育費を同額にせよとの、「同額要求」署名の交渉を続けている。こうして4年間の間にたくさんの朝鮮の方と知り合い、話し合い、友人にもなれたと思っている。

 しかし、彼、彼女たちの負担も大きく、私たち日本人への気持ちも複雑だったに違いない。私たちは植民地支配の責任を取らないまま、戦後も在日朝鮮人に同化と国内難民化を強いてきた。国内植民地化とも言える民族圧殺政策の加害者である私たちをそう易々と許してくれるはずもない。

 また、私や私の友人たちには拉致犯罪をはじめ「共和国」の在り様への疑問や批判も少なからずある。しかし、友人には服従より批判し合う関係が必要と思う。

 私は、これらの困難な課題を、反差別、反戦国際連帯を基軸として行動しながら乗り越え、チマ・チョゴリを安心して着ることのできる日本社会をめざし、ささやかな努力を続けてゆきたい。(チマチョゴリ友の会代表、松野哲二、東京在住)

[朝鮮新報 2003.2.19]