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新たな地域社会の構築へ−京都・西陣

 地域同胞らの大きな関心の中で新たな第一歩を踏んだ京都・西陣同胞生活綜合センター。同胞高齢者、障害者のためのデイサービスをはじめ、ウリハッキョ、民族性、同胞らの権利と生活を守る総合的なセンターをめざす。同センターの金鐘現所長(総聯西陣支部委員長)は、「10年ほど前もそうだったが、とくに昨年から、同胞のための同胞の組織になってほしいという同胞の声、要求がいっそう高まっている。紆余曲折もありえるが、期待に応え、西陣同胞社会の明るい未来を作り上げていきたい」と言う。

新世代、同級生から集まろう

 同胞社会の在り方について模索し、その実現へと動き出した西陣同胞社会。若い世代の考えはどうなのか。

センター竣工に尽力した建設委員会メンバー

 尹正広さん(25)は、「人が集ってこそ、これからの同胞社会についても話し合える。まずは身近な同級生から声をかけ、横のつながりを強めていかなければならない。行動に移す人が1人でも多ければ多いほど、論議を深めることができる。同時にこれは、緊急を要した切実な問題でもある」と言う。

 全康伸さん(25、教員)も、「若い世代もセンターを拠点に結集すべきだ。こうした過程の中で、日本社会の中でも民族の一員として誇りを持って生きていくべきことを知ることもできる。どのような地域を築くかは、誰かがやってくれることではなく、その主体であるわれわれ自身がしなければならない問題だ」と述べ、自身の問題としてとらえていた。

 一方、「同胞主体の組織を作らなければならない」と強調するのは、西陣および左京地域を営業区域とする京滋信用組合左京支店支店長の秋成和さん(42)。「営業を開始して半年が経ち、ようやく落ち着いてきた。われわれも同胞のための民族金融機関として同胞のために尽くしたい。新たに事業を起こしたいと、アイデアに優れた案もあるが、必要書類を依頼者側がそろえられなければ融資できないのも現実。これからは、こうした問題をクリアーしてこそ、日本社会に権利を主張でき、同胞社会も繁栄しえる」と指摘する。

 西陣織で知られる同地域。かつては同胞らの多くも携わっていた。が、日本経済の低迷、不況の流れの中で転職を余儀なくされた同胞も少なくない。

 経済問題の解決も大きな課題と言える。

すでに始まったチャレンジ

 こうした同胞社会の現実を前に新たなスタートを切った同胞生活綜合センター。総聯本部から掛け時計がプレゼントされたが、これには明るく豊かな同胞社会を示された時間どおりに築いていこうとの意味が込められている。

 「同胞社会、祖国、在日朝鮮人を取り巻く情勢を直視し、1世の先輩たちが血と汗と涙で造り、守ってきたわれわれの組織、運動を発展させ、新しい世代に引き継がなければならない」(南昌志西陣商工会会長)、「心と知恵、力をひとつにして明るく新しい地域社会を築いていかなければならない」(姜鎬成総聯上賀茂分会分会長)との言葉は、参加者全員の新たな決意を代表しているといえる。西陣同胞社会のチャレンジ≠ヘすでに始まった。(基)

[朝鮮新報 2003.2.6]