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「一歩ひいた」視点で

 昨年末から「核問題」による緊張が続いている。本紙平壌特派員からも連日、関連記事が送られてくる。受け手として日本でそれらを読みながら思うことが少なくない。

 重油提供の中断による電力損失を補う対策について語った電気石炭工業省次官のインタビュー、「核疑惑」の発端となったケリー米大統領特使訪朝時の真相を暴露した外務省局長のインタビューなどは、南のマスコミや外信が流したおかげで話題にもなった。

 そもそも今回の「核疑惑」。ケリー特使の訪朝時に北が「核開発を認めた」と一方的に発表したのが始まりだ。朝鮮側が再三否定したにもかかわらず、「疑惑」は膨らみ、それによって重油提供も中断してしまった。「電力損失を回復させるため」(シン・ヨンソン電気石炭工業省次官)核凍結を解除すると、一方的に国際世論の非難にさらされた。

 朝鮮側からすれば、軽水炉提供を遅らせ、重油提供も打ち切るなど先に合意を破ったのは米国だと言いたい。核凍結解除もやむを得ない手段だった。

 ただ、そういった朝鮮側の声はなかなか伝わらない。とくに、日本では拉致事件以降、朝鮮バッシング報道合戦が意図的に繰り広げられている。根拠があるならまだしも、「何を言っても大丈夫」といった低俗な番組だらけだ。裏も取らずに流すこともしばしばだ。

 朝鮮のことを何も知らない人々は、そういった番組を見てますます嫌悪感を募らせるだけ。一方で、朝鮮の立場はほとんど反映されない。

 だからこそ、本紙特派員が現地から記事を発信することの重要さは増していると思う。日本の実情を知っているからこそ、現地の人々とはまた違った独自の視点を持てるからだ。

 そういう「一歩ひいた」客観的な書き方が、むしろ説得力を持つのでは。前述の記事を読みながら、そうあらためて感じた。(聖)

[朝鮮新報 2003.2.4]