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おぎオンマの子育て日記−正月の風景

 義母の家で年を越した。それぞれ祭祀を終えて、夜になって集まる2人の義姉家族のために、義母と料理をしながら、のんびり話をしていた。

 義母は12歳の時、船で日本へ来たそうだ。先に日本で生活していた両親の元へ来て、喜んだのもつかの間、やんちゃが1人、甘えん坊が1人、背中に赤ちゃんを1人、と、弟たちの世話や、父と兄の食事の用意、洗濯機もない大家族の洗濯で、毎日くたくただったそうだ。

 「お昼のサイレンがなると、クンデファンの汽笛を思い出して、帰りたいでなぁ」

 済州島から大阪へ、多くの同胞を運んだ「キミガヨマル」を「クンデファン」と言う声に、思わず顔をあげた。

 「それを言うてしもうて、親は気ぃ悪かったと思うわ」と言いながら、苦い笑いを浮かべている。

 かたわらで、ミリョンが兄や姉の食べているお菓子に手を伸ばし、絶叫でアピールしている。チユニもサンホもついつい分け与えてしまう。歯が5本のくせに、とにかく何でも食べようとする。このまま好き嫌いのない子に育ってくれると良いと思うが、そううまくはいかないだろう。

 それを言うと、義母は、40数年間焼肉屋をしながら、お客さんを眺めてきて、子供の嗜好は親次第だというのだ。26歳を筆頭に14歳まで、7人いる甥や姪の顔を浮かべ、義母がそろえた、あんこう鍋にテールスープ、甘鯛、その他のおかずを見渡す。さもありなんと、妙に感心した。

 サンホは好きなものばかり食べる。ここ1カ月は、ちょっと水ですすいだキムチとご飯に牛乳だ。チユニは「オンマ、よそでご飯を出してもらったら、まずくてもおいしそうに食べなあかんねんな」などと言う。そうだとも、そうでないとも言い難く、絶句してしまった。ああ、親次第。

アッパのひとこと−ミリョンは朝鮮人

 「ミリョンは朝鮮語しゃべられへんけど朝鮮人やんな」。チユニが何気なく発した言葉に「そうや」と即応した後、考え込んでしまった。ムキ身になった時、何をもって朝鮮人であると言えるのか。自分が自然に朝鮮人であると言えるように育てたい。

[朝鮮新報 2003.1.23]