2003年在日朝鮮青年の日−20歳迎えたセセデたち「私の夢と希望」 |
13日の在日朝鮮青年の日に際し、各地で20歳を祝う集いが行われた。20年間、朝鮮人として育ててくれた親、恩師らに感謝し、同胞社会の一員としての第1歩を踏み出していく彼らはどんな夢と希望に胸ふくらませているのだろう。4人の新成人に抱負を聞いた。(李明花記者) 夢はアテネ五輪 「有言実行」―20歳を迎え、新たに掲げた自身の決意だ。その決意を胸に、現在は大学に通いながら、11月にカナダで行われる世界選手権に向けてトレーニングを続けている。 昨年一番の思い出は、釜山アジア大会に朝鮮代表として出場したこと。世界の厚壁を感じる一方で北、南の選手たちと同胞の情を交わし、統一時代の到来を肌で実感した。彼らとすぐに打ち解けられたが、それも朝鮮学校に通って朝鮮語を習ったおかげだ。通わせてくれた両親には心から感謝している。 地元北海道で「20歳を迎える集い」に参加した翌日、大好きだった外祖父が亡くなった。僕の活躍をとても楽しみにしてくれていた外祖父に、最大の夢であるアテネ五輪に出場する姿を見せることができなくてとても残念だ。この悔しさをバネに、夢の実現へ向けて今後も練習に励んでいきたい。(朴徳貴、早稲田大2年) いっそう住み良い社会に 夢は、私たちセセデが主人公となる未来の在日同胞社会をよりいっそう住みよいものにしていくこと。そのためにも「武器」となる資格を習得したいと思い、政治経済学部法律学科を選んだ。1年生の論文実習では、在日朝鮮人の社会保障制度問題などについても研究した。現在は司法書士の資格試験に向けて勉強中だ。 朝大の良さは、なんといっても全国の同胞学生と知り合えること。山口朝高時代は36人だった同級生が、朝大に来て何倍にもなり、彼らと接することにより視野が広がった。また、すばらしい講師陣によって幅広く深みのある授業を受けることができるのもうれしい。 朝大行きを勧めてくれたオモニは今も現役の教師。自分の信じる道をまい進してきたオモニのように、「住みよい同胞社会の形成」という夢の実現に向かって全力を尽くしたい。(゙善恵、朝大政治経済学部2年) 守りたいウリ文化 広島学生会の会長を務めていた高校時代、学校で「自分の好きな服を作る」という授業があり、大好きなチョゴリを縫おうと決意。縫い方を教わるため、同胞の職人のもとへ通い詰めた。以来愛用しているチョゴリは、7日に行われた地元の20歳を祝う集いでも大好評。一生の思い出になった。 現在は、昨年10月に再建された留学同広島合同支部の文化宣伝部長として活動に励んでいる。最近では舞踊部を立ち上げた。 毎学年度末に学校で行われるファッションショーにはサテンを使ったチョゴリを出展する予定だ。在日同胞のなかではチョゴリを縫える人が減少していると聞く。朝鮮の文化を受け継ぎ守っていくためにも、卒業後は洋裁専門学校の講師になってその技法を教えたい。民族衣装に初めて袖を通した時に私自身が感じたような血が騒ぐような感覚を、より多くの同世代に伝えていきたい。(権明心、石田あさきトータルファッション専門学校2年) 同胞子弟の心身鍛錬を 九州朝高を卒業後、空手道拳道会京都本部に入門。京都朝鮮第1、第2初級で朝鮮学校児童、生徒を担当するほか、常設道場でも指導している。 靴の並べ方や胴着のたたみ方などを教えるのも指導のひとつ。試行錯誤を重ねる毎日だが、保護者から「空手を通じて礼儀が身につき、精神的にも成長したようだ」と言われる時が一番うれしい。 この道を選んだのは、幼い頃から習ってきた空手を通して心身を鍛練するとともに、子どもたちが心も体も強くたくましく育つ手助けをすることで同胞社会に貢献していきたいと思ったからだ。 同胞の青少年育成に努めたい―その夢をかなえることが、民族教育を受けさせてくれた両親、背中を後押ししてくれた恩師をはじめとする周囲の人々に恩返しする道と信じ、これからも指導に励むつもりだ。(全寿英、空手道拳道会京都本部指導員) [朝鮮新報 2003.1.16] |