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広島青商会、2001年のフォーラム後、「民族旋風」

 「豊かな同胞社会のために」「子どもたちの輝く未来のために」という理念を掲げ運動を推し進めている各地の青商会。広島県青商会からこのほど本紙に寄せられた写真や資料などによると、同青商会では、2001年11月の6回目となった「ウリ民族フォーラム」を成功裏に終え新しい世代による新世紀の始まりを宣言し、現在、愛族愛国運動を力強く展開しているという。高在相会長は、「フォーラム後の活動は、在日同胞を取り巻く情勢が大きく揺れ動く中でも、民族教育をサポートし、青商会が新しい時代の主人公として同胞社会をリードしていくべき必要性を実感するものとなった。今年は祖国の情勢が大きく好転することも予想される。引き続き自らの役割を高めながら同胞社会に力と勇気を与えていきたい」と強調する。同青商会の近況を紹介する。(整理=羅基哲記者)

新世代を宣言

新入生に制服をプレゼントする青商会メンバー

 フォーラム開催は、広島における在日朝鮮人運動を発展させていくうえでの力強い原動力を生んだところに大きな意義があったと言える。

 6.15共同宣言後高まる統一への機運を踏まえて開催されたフォーラムは、「21世紀、統一同胞社会のビジョンとその実現―青商会のあり方」をテーマに行われた。

 フォーラムでは、「祖国統一と朝・日国交正常化を実現させ、日本市民との真の友好関係を築き、互いに共生できる社会を作るには、1世が堅持してきた『民族自主精神』を受け継ぎ、すべての同胞が参加する力強い同胞ネットワークを築くべき」ことがキャスターから問題提起されたが、参加者からは「(その)趣旨がよく伝わってきた」「広島は全員がひとつのように動いている」との反響が寄せられた。その一方で、「出演者らは1世が築き上げた愛族愛国の伝統をわれわれ若い世代が受け継いでいく決意を新たにするとともに、子どもたちのために明るい未来を築いていくという会員間のきずなも強めることができた」(李秀福幹事長)という。

 こうして21世紀最初に開かれた青商会のウリ民族フォーラムは、新しい世代による新世紀の始まりを宣言するものとなった。

制服とバス寄贈

 フォーラム開催後昨年の広島青商会の運動は、同胞社会はむろん日本全国に「民族旋風」を知らしめるものとなった。

 とくに民族教育を支援する運動では、新学年度に際し広島初級・新入生に制服をプレゼントしたほか、青商会OBとともに通学バス「チョンサンフェ号」を寄贈。いずれも同青商会では初めてのことで、子どもたちに21世紀の同胞社会で民族性を守り、さらに発展させていくうえでの大きな役割を担ってもらいたいとの思いが込められている。

 またこれに先立ち3月には、フォーラムの公演に出演した広島中高・生徒に「広島KYC特別賞」を、サマースクール参加後、本名宣言し弓道部門でインターハイと国体に参加した県立広島工業高校の金憲司くんに「広島KYC賞」をそれぞれ授与し、民族の心を受け継ごうとする同胞子女たちを高く評価した。

 一方、同胞障害者とそのの家族をつなぐ「ヒロシマムジゲ会」の活動にも、惜しみない支援を重ねた。

家族ぐるみで集う

そば打ちツアーを企画した南青商会

 県単位の運動が盛り上がる一方で、地域の運動も活性化されていった。県下には7つの地域青商会があるが、例えば、呉青商会(゙昌佳会長)ではメンバーの仕事が終わった後の夜11時から幹事会を開いて勉強会や意見交換を行ったのをはじめ、北青商会(李淳琥会長)では女性同盟の若いオモニたちと一緒にボウリング大会(40余人参加)を開き、南青商会(金信彦会長)では家族ぐるみでそば打ち体験ツアー(60余人参加)を催すなど地域でのイベントなども多数行われるようになった。

 北青商会の李会長は、「フォーラムを成功させたことに甘んじるのではなく、県から地域へと運動を活性化させることで、地域の同胞社会がよりいっそう明るくなった。かつてのトンネを思わせる雰囲気だった」と語る。

 また経営企画委員会も本格的な活動を始め、業種別・異業種交流も進んだ。

 また昨年4月には金日成主席の生誕90周年記念祖国訪問代表団に同青商会から8人が加わった。芸術公演・大マスゲーム「アリラン」を観覧し、祖国にパソコンを寄贈した。初めて祖国を訪れた東青商会の林孝次会長は「もう1週間滞在したい。この興奮と感動は言葉では表現できない」などと述べていた。「アリラン」を観たメンバーは、「本当にこれは観なければ一生後悔するだろう」「芸術性も一番だが、何よりも祖国人民の一心団結の姿が一番素晴らしいと思う」「改めて祖国の素晴らしさを知るとともに、在日同胞は祖国と一体であることを再確認した」などと感想をもらしていた。

ウリマルの習得に

 同青商会には演劇部ナミ21がある。フォーラムで朝鮮語による演劇「ヒロシマ・ヨロブン」を演じた、青商会会員を中心にした朝青、女性同盟の愛好家らで結成されたものだ。

 「広島の同胞、とくに学生、青年たちに朝鮮民族の魂がこもったウリマルをより理解し習得してもらいたいとの一念から出発したもの。だからフォーラム後も活動を続けている。青商会の新たな発想、無限の創造力が作りだした財産」と責任者の李康徳県副会長は言う。

 昨年9月には広島初中高の全生徒を対象に演劇を披露したほか、4月に大阪で行われた在日同胞ウリマル演劇「PAN」、9月にはプルナ2000の演劇公演に出演。「ウリマルの重要性を認識した」「これからは青商会がウリマルを守りながら、かつ新しい感覚で創造していく時代」などと好評を得た。

変わらない理念

 昨年の運動の1つに掲げられた平壌学生少年芸術団による日本公演。広島でも予定されていた。

呉青商会の総会

 県単位の実行委員会だけでなく、公演を成功させようと地域単位でも実行委を組織し、総聯をはじめ商工会、女性同盟、朝青の協力のもと地域一丸となって準備を進めていた。その結果、公演を1カ月前にした段階で広告目標は120%に達し、当日は満席となるはずだった。

 しかし、日本政府による代表団メンバーの不当な入国拒否により公演は中止。「ショックは計り知れないほど大きかった」「打開策を考えることすらいやだった」「祖国とどう接すればいいかも分からなかった」という。そんな中、青商会のメンバーらを大いに励ましたのは、広島初中高・生徒と教職員からの激励の手紙だった。

 さらに、こうした厳しい情勢の中で催された大阪でのフォーラムは、在日同胞を取り巻く情勢が大きく揺れ動く中でも青商会の理念に変わりはなく、青商会が同胞社会の新しい時代の主人公としてリードしていくべきことを示した。広島からの参加者らも共感した。

 なお中央青商会では公演中止後に祖国を訪れ、ピョンコマの日本で予定していた公演をビデオに収録し、各地の朝鮮学校で上映。子どもたちに夢と希望を与えられるよう、最大限の努力をかたむけた。広島でも子どもたちの喜ぶ姿が見られたという。

祖国と民族のために

 広島では今年、中等教育を実施してから50年目を迎える。祖国では年頭の3紙共同社説で戦勝50周年(今年7月)を情勢転換の「重要な契機」にするとしているが、対米関係において新たな転機をもたらすことを意味していると思われる。

 高在相会長は「民族教育も同様に、大きく飛躍できるよう、青商会がバックアップしていくつもりだ。われわれは新しい時代とその環境に応じて、古いものは改善し、新しいものを作り出していくが、『祖国と民族のために』という心は変わりなく次世代に伝えていきたい」と述べている。

[朝鮮新報 2003.1.9]