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同胞障害者たちの音楽サークル「tutti」が3月22日、横浜で初のコンサート

在日同胞福祉連絡会主催で

 心身に障害のある同胞が3月22日、横浜の赤レンガ倉庫で初のコンサートを開く。在日同胞福祉連絡会が昨年4月から始めた同胞障害者のための音楽サークル「tutti(トゥッティ)」のメンバーが出演、横浜の同胞イベント会社(有)ストレインが主催する。毎月行われている練習では、民族の歌や言葉に触れる機会すらなかった彼らが同胞とともに一つの音を作りあげる喜びをかみ締めている。昨年12月15日、練習場の東京朝鮮中高級学校(北区)を訪れた。

同じ気持ちで

朝大生の募金でプレゼントされた「tutti」のTシャツを着て

 リーダーで朝鮮大学校研究院生の洪瑛浮ウん(28)の掛け声で「チョソネ ノレ(朝鮮の歌)」の演奏が始まった。

 「トゥッティ」は音楽用語。「全員で、全合奏で」の意味だ。「同じ気持ちになって一歩ずつ進んでいこう」との思いを込めた。 

 ハーモニカ、エレクトーン、大太鼓…。自分で選んだ楽器を思い思いに演奏するメンバー。半年ぶりに演奏を聞いたが、立派な合奏に近づきつつあった。

聴覚に障害を持つ金昌美さん(中央)が懸命に音符を拾う

 任徳壎くん(17)は大太鼓を担当。朝鮮の歌が流れると一番にオッケチュムを踊りだすチャンダン(朝鮮のリズム)大好きの任くんは、リズム感がとてもいい。側で手拍子をとりながら補助していたボランティアの李恵琁さん(朝大教育学部2年)は、その成長を見守ってきただけに、確かなリズムをとる任くんの姿に終始笑みをたたえていた。

 楽器の後は民族打楽器の練習だ。会社員の゙秀鎬さん(24)と朝大の民族打楽器サークル「セマチ」メンバーによる指導は全身から元気がみなぎるパワフルなものだ。その意気込みが伝わっているのかチャンゴを叩く梁進成さん(36、視覚障害)はチャンダンに体を大きく揺らしている。「どうしようもなく血が騒ぐ」のだとか。

 この日初参加の金昌美さん(16)は胸一杯だった。「こういう場があるなんて今まで知らなかった。小さい時からあればいいなと思いました。ボランティアの人も温かくて…」。

 金さんは、同じ聴覚障害を持つ朴理沙さん(19)の紹介でサークルの存在を知った。当初3、4家族の参加から始まったが、19家族が参加するまでに輪は広がっている。それだけではない。同胞障害者に新たな成長をもたらしている。

 重度の障害を持つ金潤樹くん(15)は、どこへ行くにも大好きなオモニの李竜子さん(47)が一緒でないと泣き出すことが多かった。

 しかし、先月初めてボランティアと2人で送り出したところ、一度も泣かずに帰宅した。竜子さんは「自分の居場所だと思っている証拠」と喜ぶ。

愛情と専門知識

パワフルな指導に会場は熱気ムンムン

 音楽サークルを支えるボランティアの大半は朝大教育学部の学生たちだ。送り迎えや楽器の指導、親との話し合い、障害を理解するための勉強会やボランティアの反省会…。60人以上が志願した。責任者の夫由江さん(2年)は、「当初は親に『気持ちはありがたいが、専門知識がない人に任せられない』と言われ不安にもなった」という。障害者への愛情と専門知識を身につけることで乗り越えた。

 この日はクリスマス会も開かれた。盛り立て役も朝大生だ。手話を交えたり蛍光塗料を使ったピカピカのサンタを使った歌など盛りだくさんのメニューに参加者は大喜び。最後には学校をあげて集めた募金で「tutti」のロゴが入った真っ赤なTャツをプレゼントした。

 サークルを立ち上げた成基香さん(朝大・東京学芸大大学院、24)は、「障害があってもさまざまな可能性を持っていることを多くの人に知ってほしい」とコンサートへの意気込みを語る。(張慧純記者)

 音楽サークルの問い合わせは−tutti_tutti@docomo.ne.jp

※チケットの問い合わせは(有)ストレイン−semachi2001@hotmail.com

[朝鮮新報 2003.1.7]